ロードバイク(スポーツ自転車)の面白すぎる「構図」

 

 

自転車ってスゲー・・・

自転車なんて全然興味が無いという人ほど、スポーツ自転車に乗った時の感動は大きいのかもしれない。クルマで走っていた時にこんな坂道を自転車で走るのは絶対に無理だ・・・と思っていた県境の峠を「自分との闘い」の末に勝利した瞬間に、世界中の多くの人が自転車に魅了されている理由がわかった気がした。

 

クロスバイクでも登れる

湯水のようにお金をつぎ込んで高性能など追求しなくてもいい。ホームセンターで5万円程度で買える「クロスバイク」なる細身のチャリで、決して不可能レベルの苦行をすることなく「都民の森」と呼ばれるヒルクライムコースを登ることは可能だ。一般社会で生活できるだけのメンタリティがあって、そこそこ健康(健康診断でCランク以上)であれば、ほとんどの人は都内の道で最高地点という標高1000m以上まで登り切ることができると思う。

 

自分のメンタリティと向き合う

クロスバイクよりも価格が高く(2倍以上)、より高性能なロードバイクに乗る初心者が「都民の森」まで登りきれずに脱落する・・・とか言われているけど、よっぽどの体の調子の急変でも無い限りは、体力の限界ではなくて「登っても登らなくても俺の日常は変わらない」そんなシニカルなメンタリティが離脱を決断させているのだと思う。同じ仕事場に居たら絶対に関わりたくないタイプ。こんな奴と一緒に仕事をしたら頭がおかしくなる。

 

たくさんの楽しみがある

「趣味の自転車」の魅力。①走る楽しみ ②登る楽しみ ③旅に出る楽しみ ④鑑賞する楽しみ ⑤弄る楽しみ ⑥ファッションを選ぶ楽しみ ⑦成長を感じる楽しみ・・・・の7つくらいがすぐに思いつく。特に②、⑤、⑥、⑦などはクルマ趣味よりも味わいが深い。「趣味」の領域で使う限りはクルマよりも満足度は高いのかもしれない。もちろん「実用性」「安全性」を評価基準に入れてしまえばクルマの方が優位ではある。しかし自転車は何台所有していても保険と駐輪場の費用は断然に安いし税金もかからない。

 

ハマるとそこは沼

しかし「趣味」ってものは、一歩間違えると暴走してしまう。なんか意味不明に承認欲求に火がついてブログを書き始めたり・・・くらいだったらいいんだけど、外で行う趣味だとやたらと持ち物にこだわってしまう。自転車メーカーの策略にまんまと乗せられてとんでもない金額のレーシングバイクが欲しくなる。国道や都道府県道クラスの峠道ならば5万円のクロスバイクで十分に踏破可能なのに、いざ登れてしまうと「自分にはクライマーの才能がある」とか勘違いして、より軽量なバイク&コンポが欲しくなる。

 

店員は無視する

(買い替えを促進するために業界が扇動した結果の)エアロ&ディスク全盛の中で、自転車ショップの若い店員に、より軽量なクライマーバイクを探していると言っても、「(素人がアホ言ってる) 最近の流行はエアロフレームなんですよ!!今時ディスクじゃないなんてありえないですよ!!」くらいに言われる。そんなセンスのかけらもないマニュアル店員しかいない店で買う必要はないし、二度と行く必要もない。だからみんなネットで買うようになる・・・。黙ってビアンキスペシャリスマを勧めろ!!アルテグラ仕様で78万円。そこそこの歳のオッサンならば、趣味に消費するお金って年間100万円は下らないので買えますよ。これくらい「趣味」にお金を使わないとおそらく社会人として良い仕事はできないと思う。

 

あえてビアンキ

あまりにも有名過ぎるビアンキは「避ける」って人も多いようだけど、ビアンキを使うUCIワールドチームの「ユンボ・ヴィスマ」は、クライマーの憧れである3大グランツールで「チーム・イネオス」(ツールドフランスの常勝軍団)に対抗できる唯一の存在だ。ビビットな印象を与えるパステルグリーンのバイクはクライマーの「アイコン」。大所帯のビアンキのラインナップの中で「私はクライマーバイクとしてチェレステを選びました!!」と堂々宣言できるのはフラッグシップのクライマーバイクである「スペシャリスマ」だけだろう。

 

高額商品の買い方

ほんの数週間前に5万円のクロスバイクを買って納車の翌週の週末に峠を越える。その翌週に「スペシャリスマ」を注文、さらに翌週に納車され、その翌週の週末に峠を越える。わずか数週間と90万円ほど(ファッションや備品を含め)の投資で、見えている景色はガラリと変わる。あとは引退するまでその自転車で楽しむことができる。5年間乗れば月に2万円以下というコスパの良さ。見えてる世界は「頂点」。ここまで徹底して「投資家マインド」で参加できれば、どんな趣味もきっと楽しいはず・・・。

 

 

バカにされない知性

よく自転車系ユーチューバーなどが「人の自転車をバカにするな!!」と広報・啓蒙活動を行なっているのを目にする。もちろんおっしゃる通りだと思う。しかし「趣味」の世界ってのは時に残酷だったりする訳で、「弱虫ペダルに影響されてピナレロ乗ってます!!」「ルックに乗ってます!!」と動画で堂々と宣言して趣味のヒエラルキーに参戦しておきながら、他方で「50万円以下のロードバイクは全てガラクタ」みたいな言い分に対して怒りを示すのは本末転倒な気がしてならない。本当に失礼だけど、自転車系ユーチューバーってのは、どうもバランス感覚を欠いた人がチラホラ目につく。

 

構造的欠陥

現実に高級ロードバイクピナレロ」で完成車で50万円を切る価格帯のカーボンロードに使われる素材は「T700」や「T600」などの低品質なものが多い。ホームセンターでも見かける「NESTO」というブランドのカーボンロード(フレームで18万円くらい)でも「T800」が使われているし、アマゾンで「T800」クラスの中国ブランドのカーボンフレームが5〜6万円で手に入る。ピナレロビアンキに限らず、カーボンロードで一定の品質を求めると、完成車価格は50万円を越える。「50万円以下のカーボンロードはガラクタ」という発言は、ロードバイク全般がある程度見通せている経験者の「他意のない」素直な感想でしかないと思う。

 

趣味の自転車の世界

 スポーツ自転車(趣味の自転車)はカネがかかる!!・・・とは限らない。少額の投資で楽しむ方法もいくらでもある(気分を害することなく)。おそらくポイントは自分の中で理想の「自転車趣味」をイメージすることだ。趣味の自転車にはいくつものジャンルが存在する。

①ピュア・レーサー

②ピュア・クライマー

③ピュア・マウンテン

④ピュア・シクロ

⑤ピュア・グラベル

⑥クラシック・ロード

⑦クロカン

アーバンストリート

⑨ミニベロ・クラシック

⑩ミニベロ・ストリート

ざっと10種類くらい思いつく。近くの自転車コースに行けばだいたいこの10種類の「目立つ」チャリが見られる。ジャンルごとに予算は変わってくる。①〜③はとりあえず50万円以上は覚悟しなければならない。オーソドックスなロードバイクやマウンテンバイクの販売が伸びない原因は明らかだ。価格を設定するメーカーにその責任があるのだろうけど、多くのメーカーが参入した結果の価格なので仕方ないのかもしれない。④〜⑩ならばいくらお金を使うかは自分次第なので気楽だ。スポーツ自転車は①〜③しか認識していないブームに乗せられた大多数の人々とは違うスタイルを選べばいい。ただし競技性がない⑥〜⑩は「センス」が問われるかもしれないが・・・。

 

どうでもいいけど歩行者が多い平坦路をロードでクルクル回るな!!

①〜⑤の競技用機材は、休日に多くの人が散歩しているようなサイクリングロードを走るべきではないと思う。家から10分くらいのところに有名な自転車道があるけど、一度もロードバイクに乗って行ったことはない。もっぱらミニベロを使う。30km/h巡行でロード100kmよりもミニベロ50kmの方が短時間で期待どうりの負荷が得られる。シングルスピードの折り畳みミニベロで余裕で走れちゃうコースをロードバイクで走るってどういう神経してんだ!?たまにオッサンがトレインを組んでたりするけど、めちゃくちゃ遅いのでミニベロで容赦なく追い越しますが・・・。